幽閉の鬼火〜榊第一高校生徒会の怪奇譚〜
「この戸、建付け悪い……何してるんすか」


ガタンと一際大きな音を立てて開いたドアから覗いた姿に、あたしたちは地獄の果まで届くんじゃないかというくらい、それはそれは深い溜息を漏らした。


「なんだ藤原……」


白川先輩はその場にしゃがみ込んでしまう。


美保さんはさっさと席に着き、あたしも岩橋さんに椅子を勧めた。


「……なんだか知らないけど、勝手に失望するの辞めて貰えませんかね」


藤原はワイヤレスのヘッドフォンを外して、机に黒のリックを置きながら不満げに言う。


「だって藤原今日休むって言ってたじゃん!」


「用事が早く終わった」


「だったら連絡するとか」


「なんでお前に連絡しなきゃいけねぇの?」


なんだコイツ。


報連相は社会の基本だっつの!


くたばれゲーム廃人が!


「……で、報告したいことがあるんですけど」


噛み付くあたしをスルーして、藤原は白川先輩と美保さんに向き直った。


その時初めて岩橋さんがいることに気が付いたらしく、ぺこりと軽く頭を下げる。


「報告?何か分かったことでも?」


美保さんが首を傾げた。


藤原ははい、と頷く。


そして彼が口にしたのは、あたしたちの予想を遥かに上回る言葉だった。


「山名千尋と1年だけ部活が被った女性に話を聞いてきました」
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