幽閉の鬼火〜榊第一高校生徒会の怪奇譚〜
「……っ」
「きゃあああああああああああああああああ!!」
出入口のドアが勢いよく閉じて藤原がたたらを踏んだのと、日菜子先輩の空を切り裂くような悲鳴が聞こえたのは同時だった。
「なっ……!?」
体育館中のドアや窓は剣呑な音を立てて閉じ、振り返った視線の先には信じられない光景が広がっていた。
「ひ、日菜子先輩ッ!」
舞台の端には紅蓮の火柱が天井近くにまで立ち上り、日菜子先輩の腕には燃え移った炎が揺らめいている。
暗く沈んだ旧体育館の中で、その炎だけが煌々と、異常な明るさを湛えていた。
岩橋さんが「日菜子!」と叫び、駆け寄って火を叩き消した。
日菜子先輩は泣きながら腕を抱えて蹲る。
その腕は、赤く火傷が広がっていた。
「なんで……?」
あたしはふらつくように踵を引いて、掠れた声を漏らした。
部員がその場にあったお茶を掛けても、火柱は収まるどころか、息をするように大きくくねる。
その赤の中にあるのは、嵐が身につけるという、ブルーのワンピースだった。
「なんでっ……だって、千尋さんはちゃんと……っ」
あたしは3人を振り返る。
「藤原も見たよね!?美保さんも、白川先輩も、千尋さんが消えるの、一緒に!」
3人は返事をしない。
藤原は目を逸らし、美保さんは唇を噛んで、白川先輩は呆然と火柱を見つめていた。
それが答えだった。
「きゃあああああああああああああああああ!!」
出入口のドアが勢いよく閉じて藤原がたたらを踏んだのと、日菜子先輩の空を切り裂くような悲鳴が聞こえたのは同時だった。
「なっ……!?」
体育館中のドアや窓は剣呑な音を立てて閉じ、振り返った視線の先には信じられない光景が広がっていた。
「ひ、日菜子先輩ッ!」
舞台の端には紅蓮の火柱が天井近くにまで立ち上り、日菜子先輩の腕には燃え移った炎が揺らめいている。
暗く沈んだ旧体育館の中で、その炎だけが煌々と、異常な明るさを湛えていた。
岩橋さんが「日菜子!」と叫び、駆け寄って火を叩き消した。
日菜子先輩は泣きながら腕を抱えて蹲る。
その腕は、赤く火傷が広がっていた。
「なんで……?」
あたしはふらつくように踵を引いて、掠れた声を漏らした。
部員がその場にあったお茶を掛けても、火柱は収まるどころか、息をするように大きくくねる。
その赤の中にあるのは、嵐が身につけるという、ブルーのワンピースだった。
「なんでっ……だって、千尋さんはちゃんと……っ」
あたしは3人を振り返る。
「藤原も見たよね!?美保さんも、白川先輩も、千尋さんが消えるの、一緒に!」
3人は返事をしない。
藤原は目を逸らし、美保さんは唇を噛んで、白川先輩は呆然と火柱を見つめていた。
それが答えだった。