幽閉の鬼火〜榊第一高校生徒会の怪奇譚〜
体育館のあちこちで悲鳴が上がった。
炎は生き物のように蠢き、牙を剥き、地面を舐めた。
あたしは床に手を付き、顔を歪めて、それを見つめることしかできなかった。
指先はカタカタと震え、隣にいる美保さんからもその震えは伝わった。
ふぅ、と夏なのに冷たい空気が首筋を撫でる。
『……私の……大切な衣装を……返して……』
聞こえた女の声は高く細く、千尋さんの声とは違っていた。
あたしははっとして、唇から息を漏らす。
「違う……」
「はるちゃん……?」
ポルターガイストを起こしているのは千尋さんじゃない。
女は嵐じゃなくて、“嵐の衣装”に拘ってるんだ。
だから、嵐の衣装を身につける嵐役の子が狙われて、衣装のあった部室では頻繁にポルターガイストが起こった。
26年前、千尋さんの他に嵐を求めていた人は────
炎は生き物のように蠢き、牙を剥き、地面を舐めた。
あたしは床に手を付き、顔を歪めて、それを見つめることしかできなかった。
指先はカタカタと震え、隣にいる美保さんからもその震えは伝わった。
ふぅ、と夏なのに冷たい空気が首筋を撫でる。
『……私の……大切な衣装を……返して……』
聞こえた女の声は高く細く、千尋さんの声とは違っていた。
あたしははっとして、唇から息を漏らす。
「違う……」
「はるちゃん……?」
ポルターガイストを起こしているのは千尋さんじゃない。
女は嵐じゃなくて、“嵐の衣装”に拘ってるんだ。
だから、嵐の衣装を身につける嵐役の子が狙われて、衣装のあった部室では頻繁にポルターガイストが起こった。
26年前、千尋さんの他に嵐を求めていた人は────