幽閉の鬼火〜榊第一高校生徒会の怪奇譚〜
ふと気がつくと、体育館の床に散乱していた小道具は綺麗に整えられ、日菜子先輩の腕は元通りになっていた。


まるで、なにも起こっていなかったかのように。


1人立ち尽くすひかりさんに、駆け寄る人影があった。


「日菜子……」


日菜子先輩はひかりさんに抱きつき、声を上げて泣いた。


ひかりさんは日菜子さんを受け止めて、その肩口に顔を埋める。


夏の日差しが差し込んだ旧体育館には、2人の泣き声だけが響いていた。
< 73 / 75 >

この作品をシェア

pagetop