交錯白黒

許さない。

許せない、あんなやつなんかが。

私がどれだけ辛い思いをしてきたと思っているの?

どれだけ、どれだけ努力しても、足りなかった。

徹夜して、目眩がしてまともに授業も受けられなくて、また努力して。

それでも、だめだった。

3以上の赤い字を見せるたび、頬を叩かれる。
 
私の悔しさで傷ついた心は、理不尽への怒りでさらに抉られる。
 
もううんざりだった。

でも、やっと、やっと手が届きそうだったのに。

それをあんたは、一瞬で私の目の前から攫っていった。

澄ました表情で、気力の感じられない、掴みどころのない雰囲気で。

ましてや、あのことだって知っている。

私だけが持っていた、特別な切り札だったのに。

あんな、親しげで。

これは、嫉妬なんて感情じゃない。

憎悪である。
 
言動がガラスのように弱いところを正確に、かつ鋭く突いて割って来られるときがあるが、それ以外に特に何かされたわけではない。

種のない、憎悪。

身勝手な、憎悪。

自分でわかってる。

でも、逆らえないから、仕方がないの。

それに、あなた達が、悪いんだから。
  
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