交錯白黒
汎ゆる手を尽くした。
調査が行き詰まって、どうしようもなかった。
何より、謎が多すぎる。
だから、今、嫌疑にかけられていることを一つずつ潰して、そこから真実を見出すしか無かったんだ。
恋藍のDNA検体は採れそうも無かったから、恋藍と天藍ちゃんの関係を断定させることは不可能だが、ある程度予想することは可能だ。
だから、この前隣で寝ていることをいいことに、寝相が悪い振りをして、天藍ちゃんの髪の毛を何本か抜いた。
それで、僕の髪の毛と一緒に鑑定に出した。
本人が嫌がっている以上、そういうことをするのはよくない、と琥珀には何度も説得されたから、僕は隠れて一人で行った。
琥珀は自分が理不尽に分析される苦痛を知っているし、天藍ちゃんのことを思って、ずっと反対してたね。
でも僕は、それより真実を優先した。
天藍ちゃんの検体さえ採れればあとはもう容易い、琥珀の検体は簡単に採取できる。
「ごめんね。謝って許されることじゃないけど、結果だけ聞いて欲しい」
かなり、というか、一気に、散らばっていた謎の粒が繋がったよ。
二人はきっと僕らしくないというだろうけど、それなら何をもって僕らしいと言えるのだろうか。
こんな意地悪な言い方しかできないのは、僕に余裕が無いから、今でも良心と後悔がせめぎ合っているから。
良心と後悔は、対義語じゃないけどね。
勿体ぶってごめん、僕にも心の準備がほしかったんだ。
まず、僕と天藍ちゃんについて。
僕と天藍ちゃんは、
兄妹という判定だった。
そして、
琥珀と僕は、当然だが、親子という判定。
琥珀と天藍ちゃんは、
親子という判定だったよ。