交錯白黒
何でも、恋藍が亡くなったことでこれからその子をどうするか決めかねているらしい。
俺は琥珀に問診を頼みたいと研究員の一人を別室に移動させた後、侵入を試みたが途中で見つかり失敗し、その子を置いて日本に帰国せざるを得なくなった。
その後、その病院は潰れ、院長である友人は行方知れず、しかし櫻子が恋藍のクローンを発見したようで、保護してくれたと報告があった。
俺は中々会う勇気が出ず、すれ違いざまに少し見てみるとか、櫻子からの写真を貰って眺めるとかしか出来なかった。
一つだけ言い訳させてもらうと、二人の子供を抱えた上、3つの爆弾を守り切るので精一杯だったのだ。
1つ目の爆弾は、クローン。
クローン作成を行った病院が潰れた今、最有力被疑者は俺。
もし誤認逮捕でもされれば、日本警察は優秀なので後で釈放される可能性が高いにしろ、しばらくは子供二人だけにしてしまう。
2つ目の爆弾は、黄金の血。
琥珀、俺共々持っている。
琥珀の場合は俺程、人に知られていないので狙われるという可能性は低いが、他の2つの爆弾があることにより、その確率は高くなるだろう。
油断大敵である。
そして、3つ目の爆弾について。
これは、俺が医者を目指した理由でもある。
俺は。
ゲノム編集ベビーだ。