交錯白黒
それなら何故、相談しない?
何故、誰かに助けを求めない?
何故、一人で抱え込む?
「ふざけんじゃねぇよ、この馬鹿親父がっ……!」
一人で苦しんで自己完結してんじゃねぇよ。
それはただの迷惑だ。
相談されること、助けを求められること、苦しみを分かち合うこと。
それらは迷惑とは呼ばない。
絆と呼ぶのだ。
どうして人間にはこんなにも不平等につくられたのだ。
無いものねだりで不平等に見えているだけなのだろうか。
俺は、俺以上に、親父が不憫でならない。
そうは思わないか?
「琥珀!!コーヒーシュガー、スポドリ、普通の砂糖、あとラムネ持ってきた!!」
「意識が無い」
「じゃあスポドリは避けよう」
「結局どれを入れるんだよ!?」
「僕だってわかんないよ!」
涙目になってそう言いながらも、震える手で近くにあったラムネの蓋を開け、親父の口に2、3個放り込む。
そして、この際味なんてどうでもいい、というようにコーヒーシュガーもまぶした。
これで糖分を摂取させることで血糖値を元に戻し、回復できる筈なのだが、果たして。
そして間もなく救急隊員の人達が家に来て、白い粉が大量についた親父を救急車に運び込んだ。
俺たちの必死の応急処置も虚しく、
彼は病院で息を引き取った。