交錯白黒
不純です
「で?結局、どうやって突き止めた訳?」
頬を撫でる風が大分冷え冷えとし、その中舞い踊る木々の葉が紅く燃え上がってきた。
もうすっかり秋で、きっと知らない内にすぐ凍えるように寂しい冬がやってくるのだろう、そんな気がした。
「大体予想ついてますよね?」
呆れ顔で、風に弄ばれる黒髪を耳にかける彼女の服装も長袖にベストの合服に変わっており、それはそれで新鮮だ。
「でもー、知りたいじゃーん?」
天藍ちゃんは溜息をつくと、ヤケになったように少し大きな声で白状した。
「だーかーらー、尾けたんですって」
「あ、やっぱり?」
「わかってんなら聞かないでくださいよ」
怒りの籠もった目で下から睨み上げられる。
多分、これが普通の女の子なら何ともないのだろうが、天藍ちゃんは前髪で顔の半分くらいが隠れていることにより、鋭い瞳がその間から覗くと、余計に放つ光が尖って見えるのだ。
「うっわ、ストーカーじゃねぇかよ」
「な、橘くんも一緒だったでしょ!?同罪よ、同罪」
「何ムキになってんだ。冗談だよ、ばーか」
琥珀がちょん、と人差し指で天藍ちゃんの額をつつく。
天藍ちゃんは面白いくらいの速さで顔が真っ赤に染まっていき、負け惜しみのように恨み言を言った。
「……橘くん段々瑠璃さんに似てきたわね」
「瑠璃、ねぇ」
最悪、とでも言いたげである。
「えっと、それはきっと僕みたいな人格者になったってことだよね、うん」
「人格者って、誰のことだよ」
「えぇ〜」
「あ、瑠璃、ストップ。行き過ぎ」
その言葉に操られるように僕はバックし、琥珀と天藍ちゃんが立ち止まった目の前の家を見る。
洋風の造りの、一軒家。
だが、医者の家と聞いていたからか、少し小さめで、かつ年季が入っているように見えるので、拍子抜けした。
ピンポーン
「はい、高田です」
声に幼さは残るが、溌剌としていて、しっかりとしている人物像を窺わせた。
「如月です。今、いい?」
「え、天藍?しかも、琥珀ともう一人いる?」
どうやらモニター付きのセキュリティの整った家らしい。
「うん。ちょっと話したいことがあって。家、あがってもいい?」
「いいけど……。ちょっと待ってて」