交錯白黒
俺は誰だ。
俺は何だ。
俺はどうして生まれてきた。
俺の生きる意味は何だ。
誰のために生きている?
俺はただのスペアにすぎない、不要な人間。
ただアイツに平伏し、操られ、最後には「俺」が全て奪われる。
この気持ちが、誰にわかるものか。
俺はアイツを許さない。
見せ物にされ、吐き気のする重圧をかけられ、真実は闇に葬られ。
でも、俺は1つ、糸口を見つけた。
真実を覆い隠す闇を吹き晴らすことのできるかもしれない、1つの可能性。
如月天藍。
今日、あいつの顔を間近で見たとき、心臓が疼いた。
長くなってしまった前髪から覗く強気だった瞳は恐怖に揺れていて。
でも、一緒だった。
アイツの持ってた写真に写ってた少女と。
とんでもなく心臓が暴れた。
雷鳴が鳴り響いたように。
そんな感覚は初めてだった。
この感覚は、遥斗の彼女、小亜束千稲とかいったか。
あいつと会ったときにも襲われた。
こいつに関しては、物的な証拠は何もないから、ただの気のせいだろう。
俺の勘はよく当たる。
多分間違っていない。
俺は、この可能性を絶対に手放さない。