僕の彼女はかっこいい
「それより、もう一回抱きしめさせて」
そう言って彼女の腕を引っ張り胸に引き寄せる。
彼女のほうも背中に手を回してきた。
彼女の髪の毛からいい匂いがする。
香水をつけない彼女からは、いつもシャンプーなのか柔軟剤なのか分からない匂いがしていた。
シャンプーだったのか。
距離が近づいたことで、今まで以上にはっきりと柑橘系の匂いがする。
少しすると彼女が一度離れたかと思ったら、体制を整えてもう一度近づいてきた。
体制きつかったかな。
座りながら抱きしめるのって案外難しいな。
そう思いながら近づいてきた彼女を受け止めようとする。
「え、ちょっとなにしてんの」
受け止めようとしたのを止めて焦ったのは、彼女が体じゃなくて顔を近づけてきたからだ。
「え?キスしようと思って」
けろっとした顔で言う彼女を見て、さらに焦る。
「しないよ、まだ無理、早いよ」
えーっと不満を漏らす彼女をみて思った。
前言撤回。
彼女の言動をかわすのが、一番難しいかもしれない。