むらさきの苑へ
僕には未練があった
彼女のことがまだ…

こんな男は嫌われるだろうか

でも僕は誰にも声をかけることは出来ない

まして話しかけられることもない

フラフラと街を彷徨う

『これが幽霊ってやつか…まさか自分がなるとは』

『お前…まだ成仏できないんだろ?ケケケッ』

目の前に現れた黒猫が喋ってる

普通だったら叫ぶだろうか

死んでるからか僕は冷静だった

『猫が何の用だ?…ここ何処なんだ?』

『あぁ、ここはなぁ。間だ。この世とあの世のなぁ。未練がある奴らがとどまってんだよ。』

『わざわざどうも…で、何の用だ?』

『お前、会いたいんだろ?彼女に。さっき会った。お前のこと言ってたぜ。』

『彼女、何処に行ったんだ?!知ってるんだろ?』

僕はつい口調が激しくなっていた。

『まぁそう怒るな…彼女はあの門の先だ。
アレをくぐるとなぁ。生まれ変われるんだ。姿形はかわる。でもまた現世にいける。』

『じゃあ彼女は…詞葉は生まれ変わったんだな?…』

『あぁ。またお前に会えるかもってな。お前が死んだこと知らなかったみたいだぜ。』

『自分も生まれ変わるよ…詞葉に伝えたいことがある。』

『一つ言っておく。お前の寿命は20年だ。それでもいいのか?ケケケッ』

『それでもいいさ…』

『そうか。なら行きな。。。』

門が開き、白い光が差し込む…

『そういえば…黒猫。お前は何なんだ?…神の使いってやつか?』

『あぁ。教えてやるよ。20年後になぁ。ケケケッ』


再び戻る…


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