あなたにありがとう〜大切な人へ〜
story1. 自分自身を知る〜自分らしくあること〜
「りなって本当に毎日ニコニコで、悩みとかなさそうだよね!」
「そうかなぁ〜。確かに、悩みがないのが悩みかも!」
周りの友人からも、家族からも、みんなから笑顔でいつも、テンションが高くて、元気で、悩み事もなさそう。なんて、言われることが多い。私は、本当の真の姿を知らない。そして、誰にも見せたことがない。能天気で、ニコニコしているキャラ。人前ではキャラという仮面をしている。
本当の自分がどんな姿で、どんな性格でとか、正直考えるだけ無駄だと思っている。そんなこと考えるくらいだったら、もっと楽しいこと考えたり、何かしたりする方が人生を充実して生きていけると思うからだ。
私の名前は、りな。高校3年生である。女子校で、恋愛とかしてみたいなんて思うことはあるけど、出会いがなくて、本当の恋なんてしたこともない。というより、めんどくさいとまで思っているくらいだ。
高校3年生の春。私は、新たなスタートを切ったのだ。部活は、吹奏楽部。トランペットを担当している。一応、部長だ。吹奏楽部といったら、たくさんの人数がいるイメージだろうが、私の高校の吹奏楽部は違う。たったの9人。その中の部長なのだ。
「せんぱーい!一緒に合わせましょうよー。」
「オッケー!準備するから、ちょっと待ってて!」
この子は、後輩の咲。同じトランペット担当である。
「よし!しよっか!」
「はい!」
1ヶ月後に控えている演奏会に向けて、猛練習中なのだが…
ガチャガチャ!バタンッ!
「はぁ…」
ため息をしながら音楽室に誰か入ってきた。
「先輩、あんな怖い空気出して何が良いんですかねぇ〜。本当に苦手なんですけど。」
「練習中だけど、ちょっと話してくるから。ちょっと待っててくれる?すぐ戻ってくるから!ごめんね!」
音楽室に入ってきた子は、私の幼なじみの美香である。現在進行形で、後輩の咲と喧嘩中である。
「美香、どうした??」
「咲を見ただけで、イライラする。早く帰りたい。先生の所、行ってくる。」
「ちょっと待って!咲と三人で話そう?そんな感じで引退までずっとされると、周りの入部したての一年生も可哀想だから。先輩なんだから、先輩らしく話さなきゃ!」
私は、最近入部したばかりの一年生のことも考えて、美香に言った。すると、美香は静かに頷いた。そして、咲を呼び出した。話し合いのつもりだったが、話し合いというよりも言い合いといった方が正しいのかもしれない。
「美香先輩は、どうしてフル無視するんですか?他の二年生の子達も、フル無視されるって言ってましたよ?なんか悪いことでもしましたか?私たち」
「フル無視なんてしてないし。っていうか、咲たちが練習しないのが悪いんでしょ?全部美香が悪いみたいな言い方やめてくれる?」
「はぁ?美香先輩はそんなに部活に来てないくせに、よく言えますね。そんなこと。私のことは、悪く言っても良いですけど、他の二年生のことまで悪く言うのはやめてもらえますか?」
「美香だって練習来てるし。練習してないっていうのは事実じゃん!本当のことを言って、何が悪いの?結局被害者ぶってるだけじゃん!」
「はいはい!2人ともストップ!」
私は、美香と咲の間に入り、話を整理した。
「美香は、咲に対して練習をしてないのが許せない。で、咲は、美香がどうしてフル無視するのか分からない。ってことで怒ってるんだよね?」
二人とも静かに頷いた。
「まず、美香は咲に対して練習してないって言ってたけど、咲は周りのみんなよりも練習して、分からない所とか私に聞いてきたりしてたよ。だから、そこは咲は何も悪くないと思うなぁ。それで、咲は美香に対してフル無視してたって言ってたけど、そんなことないと思うよ?ちゃんと挨拶も返してた。第三者の意見だけど、二人ともすれ違いで起こった喧嘩なんじゃないかな?」
二人とも黙り込んでしまった。
「はい!ということで、二人とも!仲直りして、練習戻ろ!一ヶ月くらいだよ?本番まで。今から合奏するから、行くよ?」
私は、二人を置いて先に練習に戻った。すると、美香と咲は二人で練習に戻ってきた。
「りな先輩!どんな魔法使ったんですか?美香先輩と咲が元に戻ってる!?」
そう私に話しかけてきた子は、綾香だ。私の後輩で、フルートを担当している。そして、頼りになる副部長である。
「別に魔法なんて使ってないよ!お互いすれ違いだったみたいだよ!」
「良かったぁ〜!仲直りして。すごい空気感でしたもんね(笑)」
「本当に良かった。」
私は、喧嘩の仲裁に入ることなんてしょっちゅうである。部長だから仕方ないのかもしれない。しかし、美香と咲の喧嘩は一回だけではない。犬猿の仲って感じで、しょっちゅう喧嘩している。その度に私が仲裁に入って、仲直りの繰り返しである。
美香と咲が仲直りをして、無事演奏会も上手くいった。授業を受け、放課後は部活に行き、遅くまで練習して家に帰って、勉強して寝る。毎日、当たり前のような日々が続いた。
しかし、こんな当たり前の日々も終わりを告げようとしていた。そう。私もとうとう゛引退゛の日が来たのだ。部活を引退すると、大学受験がある。私は、推薦を取る事ができた為、面接試験だけだった。
「先輩が引退したら、私たちはどうなるんですかぁー!崩壊しますよぉ。引退しても、指導は来てくださいね!絶対ですよー!」
「崩壊するなんて、大袈裟すぎだよ(笑)指導は行くよ!これからも頑張って!」
引退して、面接練習の日々。面接練習をするにあたって、最初に自分の長所を知らないといけない。自分の長所を踏まえた上で、面接の中では話さないといけないからだ。しかし、自分自身のことは全く知らない私にとって、長所どころかどういう人間なのかもわからない。そんな中で、面接などできる訳もなく…
「松野さんの長所はどんな所だと思う?」
面接練習の担当の先生に聞かれてしまった。私は、
「ないです。考えたことないです。」
正直に言ってしまったのだ。すると、先生はこう答えた。
「自分の長所と短所は知っておかないと、面接の時は確かに困る。でも、この先生きる上で、自分のことを知っておかないと、松野さんが困るよ。」
きっぱりと言われてしまった。確かに、自分自身のことを知らずに、生きるなんて無理な話だ。先生に言われて、初めて自分自身と向き合おうと思った。
しかし、受験日も待ってくれる訳ではない。ここはひとまず、自分の長所と短所を幼なじみに聞こうと思い、美香に尋ねた。
「あのさー、私の良い所と悪い所ってどんな所だと思う?」
「うーん。りなの良い所はちゃんと周りを見てる所じゃないかな。ほら!私と咲が喧嘩してた時だって、ちゃんと私たちを見て、発言してたし!悪い所は、やっぱりマイペースな所かな(笑)」
そうか!部長だった頃の自分を思い出せばいいのか!やはり、長年一緒にいる幼なじみに聞いて正解だったなと思った。
受験当日。私は、緊張していた。しかし、唯一゛自分らしく。゛ということだけを心がけていた。面接では、しっかり、答えることができた。数日後、合格発表があった。文面の中に、合格の文字があった。私は無事、合格することができたのだ。
「りなって本当に毎日ニコニコで、悩みとかなさそうだよね!」
「そうかなぁ〜。確かに、悩みがないのが悩みかも!」
周りの友人からも、家族からも、みんなから笑顔でいつも、テンションが高くて、元気で、悩み事もなさそう。なんて、言われることが多い。私は、本当の真の姿を知らない。そして、誰にも見せたことがない。能天気で、ニコニコしているキャラ。人前ではキャラという仮面をしている。
本当の自分がどんな姿で、どんな性格でとか、正直考えるだけ無駄だと思っている。そんなこと考えるくらいだったら、もっと楽しいこと考えたり、何かしたりする方が人生を充実して生きていけると思うからだ。
私の名前は、りな。高校3年生である。女子校で、恋愛とかしてみたいなんて思うことはあるけど、出会いがなくて、本当の恋なんてしたこともない。というより、めんどくさいとまで思っているくらいだ。
高校3年生の春。私は、新たなスタートを切ったのだ。部活は、吹奏楽部。トランペットを担当している。一応、部長だ。吹奏楽部といったら、たくさんの人数がいるイメージだろうが、私の高校の吹奏楽部は違う。たったの9人。その中の部長なのだ。
「せんぱーい!一緒に合わせましょうよー。」
「オッケー!準備するから、ちょっと待ってて!」
この子は、後輩の咲。同じトランペット担当である。
「よし!しよっか!」
「はい!」
1ヶ月後に控えている演奏会に向けて、猛練習中なのだが…
ガチャガチャ!バタンッ!
「はぁ…」
ため息をしながら音楽室に誰か入ってきた。
「先輩、あんな怖い空気出して何が良いんですかねぇ〜。本当に苦手なんですけど。」
「練習中だけど、ちょっと話してくるから。ちょっと待っててくれる?すぐ戻ってくるから!ごめんね!」
音楽室に入ってきた子は、私の幼なじみの美香である。現在進行形で、後輩の咲と喧嘩中である。
「美香、どうした??」
「咲を見ただけで、イライラする。早く帰りたい。先生の所、行ってくる。」
「ちょっと待って!咲と三人で話そう?そんな感じで引退までずっとされると、周りの入部したての一年生も可哀想だから。先輩なんだから、先輩らしく話さなきゃ!」
私は、最近入部したばかりの一年生のことも考えて、美香に言った。すると、美香は静かに頷いた。そして、咲を呼び出した。話し合いのつもりだったが、話し合いというよりも言い合いといった方が正しいのかもしれない。
「美香先輩は、どうしてフル無視するんですか?他の二年生の子達も、フル無視されるって言ってましたよ?なんか悪いことでもしましたか?私たち」
「フル無視なんてしてないし。っていうか、咲たちが練習しないのが悪いんでしょ?全部美香が悪いみたいな言い方やめてくれる?」
「はぁ?美香先輩はそんなに部活に来てないくせに、よく言えますね。そんなこと。私のことは、悪く言っても良いですけど、他の二年生のことまで悪く言うのはやめてもらえますか?」
「美香だって練習来てるし。練習してないっていうのは事実じゃん!本当のことを言って、何が悪いの?結局被害者ぶってるだけじゃん!」
「はいはい!2人ともストップ!」
私は、美香と咲の間に入り、話を整理した。
「美香は、咲に対して練習をしてないのが許せない。で、咲は、美香がどうしてフル無視するのか分からない。ってことで怒ってるんだよね?」
二人とも静かに頷いた。
「まず、美香は咲に対して練習してないって言ってたけど、咲は周りのみんなよりも練習して、分からない所とか私に聞いてきたりしてたよ。だから、そこは咲は何も悪くないと思うなぁ。それで、咲は美香に対してフル無視してたって言ってたけど、そんなことないと思うよ?ちゃんと挨拶も返してた。第三者の意見だけど、二人ともすれ違いで起こった喧嘩なんじゃないかな?」
二人とも黙り込んでしまった。
「はい!ということで、二人とも!仲直りして、練習戻ろ!一ヶ月くらいだよ?本番まで。今から合奏するから、行くよ?」
私は、二人を置いて先に練習に戻った。すると、美香と咲は二人で練習に戻ってきた。
「りな先輩!どんな魔法使ったんですか?美香先輩と咲が元に戻ってる!?」
そう私に話しかけてきた子は、綾香だ。私の後輩で、フルートを担当している。そして、頼りになる副部長である。
「別に魔法なんて使ってないよ!お互いすれ違いだったみたいだよ!」
「良かったぁ〜!仲直りして。すごい空気感でしたもんね(笑)」
「本当に良かった。」
私は、喧嘩の仲裁に入ることなんてしょっちゅうである。部長だから仕方ないのかもしれない。しかし、美香と咲の喧嘩は一回だけではない。犬猿の仲って感じで、しょっちゅう喧嘩している。その度に私が仲裁に入って、仲直りの繰り返しである。
美香と咲が仲直りをして、無事演奏会も上手くいった。授業を受け、放課後は部活に行き、遅くまで練習して家に帰って、勉強して寝る。毎日、当たり前のような日々が続いた。
しかし、こんな当たり前の日々も終わりを告げようとしていた。そう。私もとうとう゛引退゛の日が来たのだ。部活を引退すると、大学受験がある。私は、推薦を取る事ができた為、面接試験だけだった。
「先輩が引退したら、私たちはどうなるんですかぁー!崩壊しますよぉ。引退しても、指導は来てくださいね!絶対ですよー!」
「崩壊するなんて、大袈裟すぎだよ(笑)指導は行くよ!これからも頑張って!」
引退して、面接練習の日々。面接練習をするにあたって、最初に自分の長所を知らないといけない。自分の長所を踏まえた上で、面接の中では話さないといけないからだ。しかし、自分自身のことは全く知らない私にとって、長所どころかどういう人間なのかもわからない。そんな中で、面接などできる訳もなく…
「松野さんの長所はどんな所だと思う?」
面接練習の担当の先生に聞かれてしまった。私は、
「ないです。考えたことないです。」
正直に言ってしまったのだ。すると、先生はこう答えた。
「自分の長所と短所は知っておかないと、面接の時は確かに困る。でも、この先生きる上で、自分のことを知っておかないと、松野さんが困るよ。」
きっぱりと言われてしまった。確かに、自分自身のことを知らずに、生きるなんて無理な話だ。先生に言われて、初めて自分自身と向き合おうと思った。
しかし、受験日も待ってくれる訳ではない。ここはひとまず、自分の長所と短所を幼なじみに聞こうと思い、美香に尋ねた。
「あのさー、私の良い所と悪い所ってどんな所だと思う?」
「うーん。りなの良い所はちゃんと周りを見てる所じゃないかな。ほら!私と咲が喧嘩してた時だって、ちゃんと私たちを見て、発言してたし!悪い所は、やっぱりマイペースな所かな(笑)」
そうか!部長だった頃の自分を思い出せばいいのか!やはり、長年一緒にいる幼なじみに聞いて正解だったなと思った。
受験当日。私は、緊張していた。しかし、唯一゛自分らしく。゛ということだけを心がけていた。面接では、しっかり、答えることができた。数日後、合格発表があった。文面の中に、合格の文字があった。私は無事、合格することができたのだ。