激おこ転生幼女のモフモフ無双!
 ……意味ある言葉としては聞こえずとも、二匹の桃色めいた鳴き声に、なんとなく察するところがあった。俺がげんなりと嘆息していると、ピンクのドラゴンが踊る火だるまに首を巡らせて、深呼吸するように、「スゥッ」と深く息を吸い込んだ。すると見る間に炎が消え、後にはこんがりと焼き色のついたモッツァー皇帝が残った。
 奴はヒューヒューと虫の息だったが、とりあえず息はしていた。
「ありがとうドラゴン殿、後は俺の仕事だ」
 ピンクのドラゴンに礼を告げ、その横をすり抜けて駆け出した。
 そうして俺は瀕死のモッツァー皇帝にペンを握らせると、終戦証明書と、賠償請求証書に署名をさせた。これにて、モッツァー皇国からの一方的、かつ、突然の進軍に端を発した戦争は無事集結。それを証明する二通の証書を手に、俺たちは帰国の途に着いた――。

◇◇◇

 と、これが今日の昼から、ここに至るまでのほんの一部だ。
 これ以外にも、先ほど帰宅の途中で寄った中央広場の救護テントで、驚愕の事実が発覚したりもしたのだが、今は割愛だ。
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