激おこ転生幼女のモフモフ無双！

　ちなみに帰り着いたモーリダ領は、ユルグ他負傷を免れた二名の遊撃隊員の必死の防戦活躍によって戦火を逃れていた。中央広場で待機していた隊員から聞かされた俺は、奴の潜在能力に舌を巻かずにはいられなかった。
「……ふふふ。私もママ、大好き……ぐぅ」
　フローラは舌ったらずに告げると、さすがに一日の疲れが出たのか、紫の瞳を瞼の後ろに隠し、夫人の胸にコテンと頭を沈ませた。
「フローラ？　……ふふ、疲れちゃったのね。ゆっくりお休みなさい、ママの宝物」
　夫人がフローラをキュッと抱き締めて、額におやすみのキスをする。
「っ、よいしょ」
　十歳のフローラはまだ小柄だが、華奢で細身の夫人が抱えるには、流石に無理がある。俺は支えていた領主殿の経脈をトンっと突いて意識を回復させると、彼を自分の足で立たせ、夫人の腕からフローラを抱き取った。
「領主夫人、フローラは私が運びます。子供部屋は二階ですね？」
「ええ。二階の角部屋よ」
「わかりました」
　夫人に頷いて答え、玄関の外に肩寄せ合って並ぶ二匹に向き直る。