激おこ転生幼女のモフモフ無双!
 怪我した竜は総勢三匹。怪我の重い順に手当てをしていって、最後に声を掛けたのは、アンティークローズのボフボフドラゴン。ちょっと硬質なその毛質から見るに、爺やさんほどではないにしても年嵩なのかもしれないと思った。
《……それじゃ、お願いしようかねぇ》
 遠慮がちに差し出されたアンティークローズのボフボフの尾っぽ。
 目にした瞬間、先ほどまでのご機嫌から一転、私は凍り付いた。もともとアンティークローズの赤みの強い毛色だったこと。そして彼女自身が、怪我した尾っぽを隠すように体に丸め込んでいたことが、症状の把握を遅らせたが……。
「……うそ。尾っぽの先っちょが……」
 っ! 痛々しく千切れた尾っぽの先っちょが、あふれる涙で見る間に滲む。
《こ、これ。娘さん、泣かんでいいんじゃよ。ほんの少し毛先が千切れただけで、こんなのは怪我をした内にも入らんよ》
 アンティークローズのボフッとした前足が伸びてきたと思ったら、ぷにぷにの肉球が私の目もとを、ぺったぺったと優しく拭う。くしくも、ぷにぷにの肉球を通して伝わる温もりが、さらに私の涙を誘った。
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