激おこ転生幼女のモフモフ無双!
 夕方、庭に移動した私は首を長ーくして訓練終了の合図を待っていた。
 ……まだかな、まだかな~。モフモフの、解散まだかな~。
 張り付いて待っている理由はもちろん、魅惑のパステルカラーに埋もれ、心ゆくまでモフるためだ。
 ちなみに現在、スカーレットは居間で腹痛にもんどりうっている。さっきまで撫でたりさすったりしてあげていたのだが、脂汗を流しながら《たまになるのよ。こうなれば、あとは時間の問題よ。ひとりでもふたりでも苦しいから、ひとりで転がっとくわ!》と言われたので、言葉通り絨毯の上を転がるスカーレットを残し、後ろ髪引かれる思いで私だけ庭に出て来た。
 心配ではあったけれど、痛みの原因は明らか。彼女の食べ過ぎによってごっくんとすると消えちゃう仕組みが異常をきたしたのだ。しかもスカーレットが痛みにもんどりうつのは、これが初めてではない。さらにこの異常は、時間が経てば治るという。悲しいかな、これはもう私にできることはない。
 ということで、スカーレットのことはひとまず脇に避け、今は竜騎士団の訓練の見学を続行だ。
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