独占本能が目覚めた外科医はウブな彼女を新妻にする【番外編】
ダイエット大作戦
どうしよう。このままでは大変なことになってしまう。
結婚式を一ケ月後に控えた土曜日の夕方。フィッティングルームの鏡に映った自分の姿を、信じられない思いで見つめた。
* * *
結婚披露宴の打ち合わせが終わってホテルを後にすると、樹さんのマンションに向かい、ふたりでキッチンに立って料理を作る。
こんがりと焼けたハンバーグにつけ合わせのサラダを添えれば、メイン料理の完成だ。
「いただきます」
声を合わせて挨拶すると、樹さんがハンバーグを口に運んだ。
「ん、おいしい」
彼がニコリと笑う。
大好きな人と一緒にとる食事は、とてもおいしく感じるから不思議だ。
樹さんに微笑み返すと、サラダのトマトをパクリと頬張り、豆腐とワカメのみそ汁に口をつけた。
「箸が進んでないようだけど、どうしたの?」
いつまでもハンバーグに手をつけない私に、樹さんが気づく。
「あまり食欲がなくて」
「食欲がない?」
「はい」
樹さんが血相を変えてイスから立ち上がり、私のもとに来て額に触れた。
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