ラグジュアリーシンデレラ
「結野。これで仕事は終わりなんだけど。今から宿に行っても、チェックインの時間は過ぎるだろう。ここのホテルでもいいかな。」

「……はい。」

せっかく宿を取ってくれたみたいなのに。

何でこんな時に、仕事で潰れてしまうんだろう。


「行こう、結野。」

デスクの下から林人さんが出したのは、泊まりの荷物だった。

林人さん、仕事が終わったら、そのまま私と旅行に行く気だったのね。

スーツ着てるのに。

そのままで、旅行行こうとしていたの?

「ふふふ。」

もし、本当に旅行に行っていたかと思うと、笑ってしまった。

「何だよ、笑って。」

「何でもない。」

そして林人さんは、亀山さんに”お疲れ様”と言った。

「亀山さんは、そのままでいいんですか?」

「えっ?どうして?」

「送ってあげたりしなくていいんですか?」

林人さんは、ニコッと笑って、私を抱き寄せた。
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