ラグジュアリーシンデレラ
あの可愛い声が、なぜか野太い声に変わる。

恐ろしい。この人。

「そして結野。こちらは……」

「初めまして。林人さんの婚約者、朝倉りずと申します。」

「えっ?」

林人さんを見ると、目を瞑っている。

「えっ?」

もう一度朝倉さんを見ると、ニコニコ笑っている。

「婚約者?」

「はい!」


その時、青志の言葉を思い出した。

ー 御曹司だったら、政略結婚の相手でもいるんじゃないか? -

まさか、この人が政略結婚の相手!?


「それは……林人さんも承諾の上での、婚約なんですか?」

私が聞くと、余裕で朝倉さんは、お茶を飲んでいる。

「私達は、親同士が決めた婚約者よ。本人の意見など関係ないの。」

「それって、政略結婚って事ですか?」

朝倉さんの眉がピクッと動く。

「許婚同士って言って欲しいわ。」

「許婚……」
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