ラグジュアリーシンデレラ
亀山さんも急いで見ると、目を丸くして驚いている。

「やってくれたな。」

「人事部の意向よ。」

「こんなのは、社長である私が、許可していない。」

林人さんは、紙を激しくデスクに打ちつけた。

「パパからの命令よ。下げる事はできないわ。」

林人さんとりずさんが、顔を見合わせて睨み合っている。


「おはよう、結野さん。」

「あっ、おはようございます。留美子さん。」

何も知らない留美子さんは、黒いスーツ姿のりずさんを見て、驚いている。

「なに、あの女。」

「実は……社長の婚約者だと名乗ってきて……」

「婚約者!?」

留美子さんは、口を両手で隠した。

「どう言う事?この前結野さん、社長からプロポーズを受けたって言ってたじゃない。」

「どうやら、親御さん同士が決めたみたいで。」

「出た!」

留美子さんは、コントみたいに、両腕を広げた。

「えっ?もしかして社長って御曹司?御曹司じゃなかったら、そんな親同士が決めた婚約者なんて、いないよね。」

すごい興奮している留美子さんを見て、逆に沈む私。
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