ラグジュアリーシンデレラ
「それとも、結野さんのご両親は、何も知らずに結婚できるとか、思っているの?」

「……私、両親はいません。」

「何ですって!?」

驚いてりずさんが、立ち上がった。

「両親もいない人が、井出グループの御曹司と、結婚できる訳がないわ!はははっ!」

すごい、笑われている。

「でも林人さんは、私を選んでくれました。」

りずさんは、呆れ顔だ。

余程、自分の家柄に自信があるんだろう。


「りずさん。俺も、結婚するなら結野だって決めている。この前もご両親には、結婚は無理だと話した。」

「聞いてないわよ!」

「そうか。俺も遠回しだったのが、いけなかったんだな。」

林人さんは、りずさんの目の前に立った。

「りずさん。俺はあなたと結婚できない。ここにいる結野と結婚する。分かってくれ。」

りずさんの身体が震える。

「嫌よ。」

「りずさん!」

するとりずさんは、ポロポロと涙をこぼし始めた。

「ひどい。林人さんは、結婚を断られた立場を知らないんだわ。」
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