ラグジュアリーシンデレラ
「但し、取引は考えさせて貰うよ。」

「えっ……」

ふいに立ち上がった朝倉社長に、林人さんも立ち上がる。

「いいんだな、林人君。」

林人さんは、手をぎゅっと握り締めた。

「はい。それで、結野と結婚できるのなら……」


亀山さんが、一歩前に動いた。

それだけで、この朝倉社長との取引が、いかに大事かが分かる。

「待って下さい!」

私も立ち上がった。

「婚約解消のお話、待って下さい。」

「結野!」

「まだ、りずさんが、納得行ってない表情をしているので。」

すると、社長も林人さんも、りずさんを見た。

「当たり前じゃない。」

りずさんは、ツンとそっぽを向いている。

「その……私が思うのは、結婚って本人同士のものなので、本人同士が決める事だと思うんです。」

「ほう。」

「だから、りずさんが婚約解消を納得するまで、ご両親は黙っているというのは、如何でしょうか。」

私がそう言うと、りずさんと朝倉社長は目を合わせた。
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