ラグジュアリーシンデレラ
「分かった。」

「私だって、簡単に諦めないわよ。」

そう言って朝倉社長とりずさんは、社長室を出て行った。


「社長……」

亀山さんが林人さんに話しかけると、彼は下を向いて項垂れていた。

「しばらく、そっとしておいてくれないか。」

「はい。」

亀山さんは、静かに自分のデスクに戻った。

私も話しかけられなくて、社長室を出た。


自分のデスクに戻ると、りずさんが私の側に来た。

「随分な自信ね。」

「いえ。本当の事を言ったまでです。」

「それが、自信満々だって言っているの。」

社長室で林人さんに、何度も”結野がいい”と言われたから、りずさんは鼻についているらしい。

腕を組んで、私のすぐ側に立って、私を見降ろしている。

「それで?私が林人さんを諦めるまで、あなた待つって言うの?」

「それも有りですね。」

するとりずさんは、私のデスクを手で叩いた。

「何、余裕ぶってるのよ。私は諦めないから、あなたずっと待つ事になるわよ。」
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