ラグジュアリーシンデレラ
「だとしたら、」

私は思い切って立ち上がった。

「あなたに諦めて貰えるように、私が頑張るだけです。」

「何ですって。」

留美子さんの前で私達は、睨み合った。


「まあまあ、二人共。ここは職場なんだから、仕事で勝負するって言うのは?」

留美子さんがそう言った瞬間、りずさんはクスクスと笑いだした。

「そうね。そうしましょう。」

「も、もちろん!」

流れで引き受けたけれど、不安になってくる。

だって、りずさんの方が、仕事に対して自信満々なんだもの。

「そう言えば、この会社。定期的に新作発表会をしてるんですって。」

「ええ、そうだけど。」

「だったら、そこで選ばれた方が勝ちっていうのは?」

「うっ!」

この前留美子さんに見せて貰っただけで、全然分かんない新作発表会。

次回の開催は、まだまだ先だけど、それで勝たなきゃいけないなんて。

「結野さんが勝ったら、私は婚約解消をするわ。でも、私が勝ったら……」

「林人さんを、りずさんに譲るんですね。」

そして私達が、バリバリと音がするくらいに、睨み合っている時だった。
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