ラグジュアリーシンデレラ
「りずさんもいいな。」

林人さんはもう一回言って、社長室に戻って行った。


「ったく。余計な事して。」

りずさんは怒っている。

それはそうだ。何かで私が勝たなかったら、りずさんは林人さんを諦めてくれないだろう。


「ねえ、ところで朝倉さん。」

留美子さんが、りずさんに話しかけた。

「朝倉さんって、あの朝倉宝石店のお嬢様なんでしょう?」

「そうですよ。それが何か。」

「だったら、他の見合い話もあるでしょうに。どうしてそんなに、社長に拘るんですか?」

その瞬間、りずさんはポッと頬を赤くした。

「もしかして、惚れてるんですか?社長に。」

「ほ、惚れてちゃ悪い!?」

まさかの”好き?”

絶対、地位とか名誉とか、言ってくるんだと思ってた。


「林人さんとの婚約が決まったのは、私がまだ中学生の頃よ。」

「中学生!?」

私と留美子さんは、大きな声を出してしまった。
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