ラグジュアリーシンデレラ
ある日、会社に出社する時に、亀山さんに会った。

「おはようございます。」

「おはよう。」

相変わらずクールな亀山さんと、二人きりのエレベーター。

緊張する。


「そう言えば……」

「はいっ!」

過剰に反応した私に、亀山さんがじっと見る。

「何でしょう。」

「私、あなたの事、見なおしたわ。」

「え?」

亀山さんが?私を?どんな気まぐれで?


「朝倉社長がいらっしゃった時、あなたを選ぶんだったら、取引を見直すって言われた時。林人、迷わずあなたを選んだわ。」

胸がドキッとした。

「そしてあなたも、取引を見直すって言われた時、婚約解消は待ってって、言ったわ。」

「はい。」

「私、二人は気が合った同士、何かのきっかけで、簡単に壊れるモノだと思っていた。」

そんな風に思っていたんだ。厳しいな、亀山さん。

「でも、そんな事どうでもいいのね。要は二人が一緒にいられれば、それでいい。」

「はい。」
< 159 / 177 >

この作品をシェア

pagetop