ラグジュアリーシンデレラ
そして、会社の中に入り社長室に入ると、グレーのタキシードを着た林人さんが立っていた。

「林人さん、カッコいい。」

「結野だって、綺麗だ。」

ふと奥の方を見ると、スーツを着た青志もいた。

「青志、来てくれたのね。」

「当たり前じゃないか。姉ちゃんの結婚式だもん。」

うんと頷くと、私は林人さんと手を繋いだ。


「さあ、社長。誓いの言葉を。」

亀山さんに促され、咳ばらいをする林人さん。

「えー、私井出林人は、病める時も健やかなる時も、新婦結野さんを大切にすると誓います。」

「次は、結野さん。」

亀山さんは、私達の写真を撮りながら、司会進行までしてくれている。

「私、川畑結野は、病める時も健やかなる時も、会社が大変な時も!新郎林人さんを、大切にすると誓います!」

「では、指輪の交換と、誓いのキスを!」

「えっ?指輪?」

すると亀山さんは、林人さんのデスクから、指輪の箱を持って来た。

「綺麗……」

そう言った私の左手の薬指に、シルバーの指輪が光る。

今度は、林人さんの左手の薬指に、指輪をはめる。

そして、誓いのキスをして、私達は笑い合った。
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