ラグジュアリーシンデレラ
「ただいま。」

「お帰りなさ……」

家に帰って来た青志の顔に、青い痣があった。

「どうしたの?それ。」

「ああ、ちょっと転んで……」

急いで袋に氷を詰めて、痣を冷やした。

「でも、これって誰かに殴られたんじゃ……」

すると青志は、唇を噛み締めた。

「そうなの?」

「気にするなよ、姉ちゃん。」


もしかしたら、両親がいないって言うだけで、虐められているんだろうか。

それだけが心配。


「青志。何かあったら、お姉ちゃんに行ってね。」

すると青志は、私の手を握りしめた。

「姉ちゃんこそ、何かあったら俺に言って。」

青志は立ち上がると、私が捨てたはずの、井出さんの名刺を差し出した。

「いい人じゃないか。社長なんだろ?」

私は名刺を手に取ると、びりびりとそれを破いた。

「姉ちゃん。いい人に出会ったら、幸せになったっていいんだよ。」
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