ラグジュアリーシンデレラ
「私の事よりも、青志の事の方が大事よ。」

「そういうの、嫌なんだ!」

「青志……」

私は傷ついた目をしている青志を、ぎゅっと抱きしめた。

「姉ちゃん。俺の犠牲になんて、ならないでよ。」

「大丈夫よ。私、これでも強いんだから。」

私は青志と向かい合った。

「でも、本当によかったの?名刺破いて。」

「ああ、いいの。その人、社長さんだから。私達とは住む世界が違うわよ。」


立ち上がって、何気なくキッチンに行った。

シチューを作るのに、野菜を切った。

そう。

井出さんはきっと、こんな庶民派の料理なんて、食べないわよ。

いつもあんなレストランで、高くて美味しい料理を食べているのよ。


「社長だって、いいと思うんだけどな。」

青志が何気に言った。

「姉ちゃん、美人だし。大学だっていいとこ通ってたんだし。イケると思うよ?社長夫人。」

「何言ってんのよ。相手が私を選ばないわよ。」
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