ラグジュアリーシンデレラ
そうそう。

井出さんみたいな紳士が、私のような貧乏くさい女を選ぶ事はない。


そんなある日の事だった。

斉藤さんが、笑顔で私の側にやってきた。

「結野ちゃん、これあげる。」

「えっ?」

急に手の平に、紙を握らせられた。

「何ですか?これ。」

紙を開いてみると、電話番号が書かれていた。

「何だと思う?」

「さあ。」

「社長さんの、連絡先。」

「えっ!」

井出さんの!?

しかも、LINEのIDとかじゃなく、電話番号?

「結野ちゃんに教えるって言ったら、それは楽しみだって、言ってたよ。」

「そんな……」
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