ラグジュアリーシンデレラ
誘われるがままに、私は井出さんに付いて行った。

エレベーターは、1階だけ昇って降りた。

そこには、会員制VIPバーとだけ書かれていた。

わっ。一気に高級感。


通された場所は、カウンターでジャズも流れている。

雰囲気ある。


「会員制なんですね。会員になるのに、どれくらいかかるんですか?」

「いくらだったかな。それこそ2年前に会員になったからね。覚えてない。」

覚えてないって!

こんな高そうな場所、数千円で済まないでしょ!

「それよりも、どうしてそんなに、お金にこだわるの?今日は全部俺のご馳走なんだから、気にしないで。」

さっきまでは、”はい”って言えたのに、今は言えない。

「いえ、ここは私に出させて下さい。」

私は、お財布の中に、いくらお金があるか、確かめようとした。

「ダメだよ。こんなところで、女の子が財布を出したら。」

「えっ?」

そんな場所あるの?

「俺に恥かかせないで。」

耳元で、そう囁かれる。
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