ラグジュアリーシンデレラ
「そうだわ、そうしないさいよ。いい人がいたら、紹介するわね。」

「あの、でも……」

「任せなさい。結野ちゃんと青志君はもう、私の子供みたいなもんなんだから。」

お隣さんはそう言って、手を振って行ってしまった。


家の中に入ると、私はリビングに仰向けになった。

「結婚かぁ……」

まだ二十歳の私には、結婚なんて想像もできない。

それに、いい人がいたからって、弟の面倒まで見てくれる人なんていないわ。

何もかも救ってくれる王子様は、この世にいないんだから。

そう思ったら、あっという間に夢の世界に、引きずり込まれた。


「……ちゃん、姉ちゃん!」

「ん……」

目を開けると、そこには弟の青志の顔があった。

起き上がって、窓の外を見ると、もう暗かった。

「ええっ?もうそんな時間?」

「そうだよ。いつから寝てたんだよ。」

青志は学校が終わると、コンビニでバイトをしている。

それも、生活費の足しになっているのだけど。

「ごめんね。急いでご飯の用意するから。」

「ああ、いい。廃棄貰ってきたから。」
< 5 / 177 >

この作品をシェア

pagetop