ラグジュアリーシンデレラ
「うーん。」

考えるまでもない。

「井出さんは、私にとって、王子様みたいな人だから。」

「王子様?」

「ほらシンデレラだって、日頃頑張っているご褒美に、お城へダンスに行って、王子様に出会ったじゃないですか。」

「そうだっけ?」

「井出さんがいろいろしてくれる事が、私にとって日頃のご褒美なんです。だから、井出さんは、私にとって王子様なんです。」

「そっか。」

井出さんの躊躇いながらも、嬉しそうな顔。

こんな人が、私の彼氏だなんて、舞い上がってしまいまそう。


その時だ。

「ただいまー。」

「青志だ。お帰りなさい。」

私が玄関に迎えに行くと、青志は怪訝そうな顔をしていた。

「誰か来てるの?」

「えっ、あっ、うん。」

青志がリビングに行くと、井出さんは頭を下げた。

「初めまして。お姉さんとお付き合いさせて頂いている、井出と申します。」

「弟の青志です。」
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