ラグジュアリーシンデレラ
こうして私と井出さんは、付き合うようになった。

相変わらず私は、あのビルの清掃に行ってるけど、いつもの職場が違うような感じがする。

特に、井出さんと会う朝は、格別だ。

「おはよう、結野。」

「おはようございます、井出さん。」

井出さんは、私が来る曜日だけ、朝早く出勤する。

そして、私が窓のサッシを拭いている横で、私の仕事を見ているのだ。


「飽きないですか?ただサッシを拭いているのを見ているのって。」

「どうして?好きな人を見ているのは、飽きないよ。」

こんな事を言っては、私が照れるのを見て、井出さんは楽しんでいるのだ。


「ところで、いつまで井出さんって呼ぶの?」

「おかしいですか?」

「というか、名前で呼んで貰いたい。」

「名前……」
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