ラグジュアリーシンデレラ
「特上寿司を三人前、お願いします。」

「かしこまりました。」

すると青志が、私に囁く。

「特上って何だよ。普通の握りと違うのか?」

「そうじゃない?」

「俺達に払えるのかよ。」

それを聞いた林人さんが、はははと笑う。

「気にしなくていいよ。俺のご馳走だから。」

「……ありがとうございます。」

青志は、ちょっと小声だ。

そう言えば青志、林人さんを問い詰めるとか言ってたけど、まさか本当にする気じゃないでしょうね。


「ところで、井出さん。」

来たっ!

「お仕事、事務用品の販売をしていらっしゃるって聞きました。」

「そうだよ。」

「住んでる場所も、一億するマンションだって。」

「そうだね。」

林人さんは、嫌な顔をする事なく、青志の質問に答えてくれている。

「俺はどうしても、事務用品を売る社長さんが、一億もするマンションに住んでるイメージないんですけど。他に事業をされていたりするんですか?」

「していないよ。」
< 77 / 177 >

この作品をシェア

pagetop