ラグジュアリーシンデレラ
「……この前、井出さんに弟を合わせたんです。」

「おっ!それで?」

「あの人はダメだって、反対されたんです。」

「あら。」


斉藤さんに言ってみると、堰を切ったように言葉が出てきた。

「井出さん、井出グループっていう大きな不動産の御曹司みたいで。身分違いだって。結婚相手も政略結婚で決まっているって。」

「それで?もう社長の事、諦めるの?」

私は、ううんと首を横に振った。

「それでいいじゃない。社長を信じて、前に進むだけだよ。」

斉藤さんは、ニコニコ笑っている。


「もしかして、斉藤さんも同じような恋愛を?」

「私が?ない。」

私の足がガクッとなった。

「でも恋愛なんて、皆そんなものじゃない。相手に似合うかどうか、いつも気にして。」

そうだ。

たぶん、相手が林人さんじゃなくても、青志は私に似合うかどうか、言ってきただろう。

「負けちゃ駄目よ。どうせ結婚すれば、弟さんだって分かってくれるわよ。」

「そう……ですよね。」

そう言うと、斉藤さんはニヤニヤしている。
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