ラグジュアリーシンデレラ
連れて行かれたのは、給湯室だった。

「こ、こんなところに。」

「黙って。」

すると林人さんは、私の頬に手を当てると、熱いキスをし始めた。

「んっ……はぁっ……!」

何だろう。

こんな貪るようなキス、初めて。

「ああ、足りないな。本当は、結野を抱きたい。」

そう言うと林人さんは、私をぎゅっと抱きしめた。


「今日、少しの間、会える?」

「少しなら。」

「仕事が終わったら、ホテルのフロントで待ってて。」

「はい。」

林人さんが、私を見つめる。

「これ以上一緒にいると、結野の仕事を邪魔しそうだ。」

「それは、困るかも。」

「ははは。大丈夫。俺はもう仕事に行くよ。」

そして林人さんは、名残惜しそうにオフィスへと向かった。
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