ラグジュアリーシンデレラ
「私は、社長のお父様とも親しくさせていただいています。勿論、結婚相手の事も知っています。だからこそ、言うのです。」

いや、そんな事言われたって、それは私と林人さんの話なんだし。

「申し訳ないのですが、私の一存では決められませんので、林人さんとお話合いさせて頂きます。」

「大丈夫ですよ。あなたが別れると言えば、それで済む事ですから。」

ちょっと、何を言っているの?この人。

「私は、別れるつもりはありません。林人さんも、同じ考えだと思います。」

すると亀山さんは、うんうんと頷いている。

「何も、私はあなたの事を考えて、教えてあげているのよ?」

「分かっています。」

「いいえ。分かってないわ。」

無表情でこちらをじっと見る亀山さん。

はっきり言って、怖い。


「失礼だけど、あなたのご両親は、どんなお仕事をされていたの?」

「普通の会社員でした。」

「申し訳ないけど、その時点で社長とは釣り合わない訳。お分かり?」

私は、ごくんと息を飲んだ。

「林人さんが、井出グループの御曹司だって言う事は知っています。けれど、林人さんは私の生い立ちを知った上で、私を選んでくれたんです。」

「もしかしてあなた、社長と結婚できると思っているの?」
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