ラグジュアリーシンデレラ
青志の前で、腰に手を回す林人さん。

ちょっと恥ずかしい。

しばらくして店員さんがやってきて、通された席は窓側の席だった。

青志は、ずっと窓の外を見ている。

「どうしたの?青志。」

「ん?こんな世界があるんだって、初めて知った。」

54Fから見下ろす世界は、まるで世の中を見降ろしているようだ。

こんな高い場所で、食事が出来る人がいるんだ。

私も、青志と同じ考えだ。


「青志君。君がお姉さんと俺の交際を、心配しているって聞いたよ。」

「心配してるんじゃありません。反対しているんです。」

私は、水を噴き出しそうになった。

はっきり言うな、青志。

「正直言って、こんな場所で物を食べれるって、一部の限られた人だけじゃないですか。姉がそういう世界に入れるなんて、思えないんです。」

「君は、いつでもお姉さんが、心配なんだね。」

しばらくして、食事が運ばれて来た。

「確かに、俺の配偶者になるには、それ相応なりのマナーを分かっている人じゃないと、務まらないと思う。」

胸がズキッとした。

やはり林人さんには、社長令嬢とか、そういう人がいいんだろうか。
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