ラグジュアリーシンデレラ
「でも俺は、結野がそのマナーを、知らない人ではないと思っている。」

「えっ?」

私と青志は、首を傾げた。

「いくら上流階級の人だって、最初はテーブルマナーや、人への礼儀作法を学ぶところから始まるんだ。その中で必ず持ち合わせていなければならないモノがある。」

「それは、何ですか?」

「知性と、思いやりだ。結野は、それを元々持っている。その他はおいおい、学んでいけばいい。」

胸がジーンとした。

私なんて、何も持っていないと思っていた。

でも、林人さんは私自身を、見つめてくれていたんだ。


「だから、この前言った通り、結婚を視野に入れて、お姉さんとこれからも交際していくつもりだ。」

「林人さん。」

私と林人さんは、手を合わせた。

私、この人を信じて隣にいていいのね。


「そうですか。でも井出さんみたいな人には、それ相応の結婚相手とか、親の紹介で決まってたりするんでしょ。」

「そんな事も、心配していたね。」

料理はコースになっていて、次から次へと料理が運ばれてくる。

青志は、食べるは食べているけれど、あまり食が進まないみたい。

「確かに、親は俺に社長令嬢との結婚を、進めてきている。」

その瞬間、私は手に持っていてナイフを落としてしまった。
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