ヤンデレ彼氏の育成方法
「楓ちゃんやっぱり、一軒家とかデザインするの憧れてるでしょ?」

「まぁ、憧れてます。」

「私ねぇ、そろそろあの家もリフォームしようと思ってるの」


ボロボロだから〜なんて言葉に思い出すのは実家。

未だにトイレは和式、基本畳、ギシギシと音を立てる縁側。


「リフォーム代は私が出すとして...
インテリアデザインを楓ちゃんにやってほしいの。
で、3人で住む。どう?」


どうやら、母さんは楓の描くインテリア、というものが好きらしい。
このマンションの一室を見て確信したようだった。


「2人がまだ結婚しないって言うなら、まだこのマンションに居ればいいと思うし...

結婚するなら、一緒に住んだ方が忙しいふたりにいいと思うの」


一人暮らしも寂しいのよ、なんて母さんが笑う。
父さんが死んでから随分経つ。

高校生の時にはもう、俺も一人暮らしだったし。


「私は全然...いいですけど。
全部陸斗次第ですかね」

「えっ、僕...」


正直驚いた。
以前、結婚の話をして苦笑いをされて終わったから。

それに以前、結婚に関するドキュメンタリーを見た時に言っていた。

結婚とかどうでもいい、と。


「陸斗はどう?
楓ちゃんはいいみたいだけど」

「うぇ、は...し、したい...です」

「ふふっ、照れてる?」


ぷにぷにと楓が笑いながら頬をつつく。
そんな姿もいとおしかった。
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