ヤンデレ彼氏の育成方法
ピコンッ

拓馬【今度二人で飲みに行かない?】
【昔のことも含めて話したいんだ】

髪を後ろから乾かしてもらいながら、私はメールに返信をする。

まず初めに、と、ある程度の日時の目安を聞いた。

拓馬【来週の日曜とか、どう?】

日曜。
私も、陸斗も休みで、どこか二人で行こうとか、話していた日である。

黒いトーク画面に、陸斗の顔が映る。

確かに画面を見ていた。


空いてるよ、と返信しようとすると、ドライヤーを止めて、陸斗がスマホを奪い取った。

【ごめん、その日彼氏とデート】

そう陸斗が返信して、私の耳を甘噛みした。


「遊びに行こうって言ってたの、忘れたの?」

「.......」

「というかそもそも、僕に確認も取らずに男とふたりで飲むとかありえないし。」


陸斗の生暖かい舌が耳を湿らす。


「楓は僕のなんだから、他の男となんか会っちゃだめでしょ?」


後ろから抱きしめられる。
ぎゅっ、と、彼の顔が私の首元に押し付けられるのがわかる。


「その男の連絡先ブロックして、削除して。」


言われたままに削除する。
...友達でもなんとも思ってなかったため、躊躇などすることはなかった。


「誰、どんな関係の人?いつ出会ったの?」

「バスケ部の先輩。高二の時付き合ってた人。
高校の時合コンで会った」

「っ...ねぇ、スマホ見せて」


男の連絡先でも消すのだろうか、と思っていたら、バキッと携帯が音を立てた。


「仕事用の携帯あるしいいよね。
僕との連絡は...日曜日、専用のを買いに行こうか」


画面の割れた無機物を見る。
まだ電源はつくようだった。

...ゲームのバックアップはとってるし、いいか。


「楓、僕以外の人と必要以上に話さないで」


約束ね、とにこりと笑顔を見せた。
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