チップじゃなくてキスがほしい
「この歌、カジノをモチーフにしているのね。ポーカーにクラップスにバカラ、素敵だわ!」

「詳しいね。僕、ポーカーしか知らないよ」

虎徹がそう言うと、フランソワーズは挑発的に微笑む。そして華やかな顔を虎徹に近づけて囁くように言った。

「ねえ、私とポーカーで遊ばない?」

妖艶な声で言われ、断らない人間はいないだろう。虎徹はドキドキしながら「いいよ」と答えていた。そして、その日からフランソワーズと部活が終わった後にポーカーを楽しむようになったのだ。



放課後の教室で虎徹とフランソワーズは見つめ合い、チップ代わりのキャンディを手をする。虎徹は少し緊張したような、フランソワーズは挑発的な目をしていた。

「じゃあ私からいい?」

フランソワーズが言い、虎徹は「いいよ」と答える。するとフランソワーズは迷うことなく「コール!」と言いながらキャンディを置いた。

「コール!」

虎徹もそう言い、キャンディを置く。静かに二人の戦いは幕を開けた。
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