密かに出産したら、俺様社長がとろ甘パパになりました~ママも子どもも離さない~

 いつもよりちょっと豪華な食事を囲んで楽しい時間を過ごすこと、数十分。ふいに、部屋着のポケットに入れていたスマホが短く振動した。

 壁の時計で時間を見ると、約束の八時の十分前。おそらく玲士だろうと思いつつ、さりげなく空いた皿をキッチンに下げながら、スマホを確認する。

【アパートの前に着いた】

 予想通り、玲士からのメッセージだ。

【早かったね。こっちはいつでも大丈夫だから、インターホン押してくれる?】

 そう返信しながら、なんだかソワソワしてくる。

 煌人はどんな反応をするかな。きっと喜んでくれるよね……。

 自分の気持ちを落ち着かせるために、コップに水を注いでひと口飲んだその時だ。

 ――ピンポーン。鳴り響いたその音に、煌人が即座に私の顔を見た。

「ママ、サンタさんかも……!」
「うん。煌人が出てごらん?」
「いいの? わかった!」

 昨今、宅配業者を装った強盗事件なども多いので、普段は絶対に煌人に玄関のドアを開けさせないが、今日は特別だ。

 こっそり後ろから様子を見守っていると、煌人はダダダッと短い廊下を駆けていき、玄関のロックを解除してそうっとドアを開けた。

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