密かに出産したら、俺様社長がとろ甘パパになりました~ママも子どもも離さない~
そこには、特徴的な赤い服に真っ白な髭、三角帽子をかぶり大きな白い袋を持った〝本物のサンタ〟が立っていた。
「メリークリスマース!」
別人のように声をこもらせながらも、サンタになりきってそう言った玲士に、思わずクスクス笑ってしまう。
強引で俺様なあの玲士が、子ども相手に本気で演技している……!
そのレアな姿はいつものスマートな身のこなしとは全く違うけれど、なんだか妙に愛くるしい。
煌人は緊張しているのか、それとも言葉を失うほどに感動しているのかずっと無言だ。玲士サンタはそんな煌人の目線にしゃがみ、プレゼントの袋に手を入れる。
「いつもいい子にしている煌人くんに、サンタさんからプレゼントだ」
そして、赤い袋と金のリボンで綺麗にラッピングされた小さな箱を煌人に手渡す。その大きさや形から、煌人は中身を察したらしい。
「ありがとう! これ、僕の一番欲しかったやつ!」
弾けるようにそう言って、その場でぴょんぴょん跳ねる。
その光景を見ていると胸がじーんとして、目頭が熱くなった。