密かに出産したら、俺様社長がとろ甘パパになりました~ママも子どもも離さない~
よかったね、煌人。それに玲士も……息子に直接プレゼントが渡せて、きっとうれしいよね。
一旦キッチンに引っ込みティッシュで鼻をかんでいると、ドアが閉まる音がして、煌人が廊下から戻ってくる足音がした。
「あれ? サンタさん、もう帰っちゃった?」
「ううん。ママと話したいって、外で待ってる」
「えっ?」
「きっと、ママにもプレゼントだよ!」
そんなわけはないと思うけど……。
首を傾げながらも、無邪気な煌人に背中をぐいぐい押されて、玄関まで来てしまった。煌人はリビングに戻り、さっそくプレゼントのリボンをほどいている。
「じゃ、ちょっとおもちゃで遊んで待っててね」
「うん!」
煌人に言い残すと、私はサンダルをつっかけてドアの外に出た。冷たい空気が肌を刺す。
「わ、寒い……」
そう呟いて吐き出した白い息の向こうに、玲士がさっきと同じサンタの格好のままで立っていた。
「メリークリスマス、雛子」
声はいつもの玲士に戻っているが、白いひげで顔が半分見えない。よくできた変装に感心しつつも、つい笑いがこぼれる。