密かに出産したら、俺様社長がとろ甘パパになりました~ママも子どもも離さない~
「ただいま~。ごめんね、遅くなって」
私は玄関の外で一度深呼吸をし、プレゼントを部屋着のポケットに隠してから室内に入った。
煌人はなぜか買ってきたケーキを冷蔵庫から出してダイニングテーブルに置き、椅子の上に立って、勝手にケーキに包丁を入れようとしていた。
「ちょ、ちょっとなにやってるの!」
「あっ、ママ」
慌てふためく私とは反対に、落ち着いた様子で包丁を置いた煌人。
とりあえずけがをしていなくてよかった……。私が玲士と長いこと話し込んでいたから、待ちきれなかったのかな。
ホッと胸をなで下ろしつつ、煌人に尋ねる。
「ごめんね待たせて。ケーキを食べようとしてたの?」
「ううん、サンタさんにも分けてあげようと思ったんだ。でも、帰っちゃった?」
サンタさんに分けてあげようと……煌人ってば、なんと思いやりのある子だろうか。
「優しいね、煌人。でも、サンタさんはこれからまた別のおうちにプレゼント届けに行かなきゃならないからさ。気持ちだけで大丈夫」
「そっかぁ」