密かに出産したら、俺様社長がとろ甘パパになりました~ママも子どもも離さない~
やがて数メートル先にふたりの姿がはっきり見え、俺の姿に気づいた雛子が微笑んで手を振る。
煌人は不思議そうな顔をして雛子の視線を追い、俺を見つける。すると、笑いたいのを堪えているように口元をムズムズさせながら早足になり、やがて駆け足で近づいてきた。
雛子の手を引いて、まっすぐ、俺のもとへ。
その姿を見たら、今までの緊張はどこかへ飛んでいき、息子への愛しさで胸がいっぱいになった。俺はしゃがんで両手を広げ、おいでと告げるように一度うなずいた。
「パパ!」
煌人は雛子とつないでいた手をパッと離し、弾けるような笑顔で俺の胸に飛び込んできた。
「煌人……」
小さな体をしっかり抱き留めて、我が子の温もりを、香りを、首に回された小さな手の感触を確かめる。
自分に息子がいるとわかったのはそう昔でもないし、煌人の年齢はまだ三歳。なのに、まるで何十年も会えずにいたような感慨が胸に押し寄せて、目頭が熱くなった。
「パパ、僕ね」
「ん?」
話し始めた煌人の体をそっと離して、顔を覗く。すると、煌人は得意げに瞳を輝かせて言った。