密かに出産したら、俺様社長がとろ甘パパになりました~ママも子どもも離さない~
「ママに聞く前からわかってたよ。パパがパパだって」
「えっ?」
どういう意味だろうか。
ちょうど追いついてきた雛子と目を合わせ、ふたりで煌人のつたない言葉の続きを待つ。
「だって、初めて会った時、僕の好きなシュワレンジャーが、ジンジャーエールゴールドだって知ってた。それとクリスマスの時に、ママのことギュッてしてたから」
その発言に、雛子が頬を赤らめて慌てた。
「えっ!? 煌人、なんでそれを……!」
「だって、見たんだもん」
素直に答える煌人に、俺は思わず苦笑をこぼした。
実はクリスマスイブの夜、玄関先で抱きしめた雛子の肩越しにドアが開き、そこからひょっこり顔を出す煌人と俺は目が合っていた。
俺は内心うろたえたが、唇の前に人差し指を立て〝しーっ〟と言う仕草をすると、煌人は素直に頷いて静かにドアを閉めた。
……そういえば、あの時の俺はサンタの変装を解いていたんだったな。
「もしかして、だからケーキをあげようと……?」
「うん。あのサンタさんがパパなら、三人でケーキ食べられるかもしれないって思って」